個人事業でスタートするか、法人を設立するか?
事業をスタートするにあたり、①個人事業主か、②法人設立か を迷われる方も多くいます。
個人か法人かを選択する一つの基準としては、これから運営する事業の規模をベースに考える方法があります。例えば、夫婦2人で美容室を開業するのであれば、お金をかけて法人化する必要はないでしょう。また、最初から従業員を数名雇用して、全国展開を目指すビジネスを始めるのであれば法人化をお勧めします。
それぞれにメリット・デメリットがあります
個人事業主 | 法 人 | |
● 設立時に費用がかからない ● 会計処理が簡単 ● 所得が低い場合、税負担が少ない |
メリット | ● 一定以上の所得があれば、個人事業主よりも税負担が軽い(所得が低いと税負担が個人事業主より重くなることがある) ● 経営者も家族も社会保険に加入できる ● 経営者の給与を経費に計上できる |
● 事業主は社会保険に加入できない ● 法人相手のビジネスの場合、やや信用度に課題がある |
デメリット | ● 設立時に費用がかかる ● 会計処理は複式簿記が必須となり、事務作業が増える ● 役員の改選など、組織運営に手間がかかる |
一般的に法人のほうが信用度が高いとはいえ、個人でも法人でも開業当初は信用度が低いと思っていたほうがよいでしょう。また、税金の観点では、最初は個人事業としてスタートし、代表者の所得金額が800~1000万円を超えるあたりで法人化を検討してもよいと思います。ただし、法人化することによって、社会保険の加入や会計処理の外部委託など、これまで以上に経費がかさむこともありますので、様々な面から総合的に判断しましょう。
個人事業と法人の比較表
個人事業 |
法 人 |
||
なし | 設立費用 | 合同会社 | 株式会社 |
不要 | 法務局への登記 | 10~15万円 | 25~30万円 |
出資と言うよりは、個人が資金を用意して自己責任で事業を行う | 出資と経営 | 必要 | |
規定なし | 最低資本金の額 | 出資者を社員と呼び、出資者と経営者は一致している | 基本的に出資者と経営者は分離している。株主であっても、取締役に選任されなければ、業務執行の権限はない |
代表(事業主本人) | 代表者 | 代表社員 | 代表取締役 |
規定なし | 最低役員数 | 社員1名以上 | 取締役1名以上 |
無限責任 | 出資者の責任 | 有限責任 | |
なし | 決算の公告義務 | なし | あり |
一般論として法人よりは、低いと言われている | 社会的な信用 | 一般論として株式会社よりは低いと言われている | 一般論として信頼度は高いと言われている |
自分で処理すればコストはゼロ。税理士に頼んでも法人よりは安価 | 経理・税務のコスト | 毎月の処理や決算報告などを税理士に依頼すれば、一定の費用がかかる(企業規模や契約形態により異なる) | |
費用にならない | 経営者の給与 | 費用にできる | |
任意(従業員5人以上は加入) 事業主は加入できない |
社会保険 | 強制加入 | |
3年(青色申告) | 赤字の繰り返し | 9年 | |
12月 | 決算期 | 自由に設定できる | |
●課税される所得金額と税率 ・195万円以下 税率5% 控除額0円 ・195万円超 330万円以下 税率10% 控除額97,500円 ・330万円超 695万円以下 税率20% 控除額427,500円 ・695万円超 900万円以下 税率23% 控除額636,000円 ・900万円超 1800万円以下 税率33% 控除額1,536,000円 ・1800万円超 4000万円以下 税率40% 控除額2,796,000円 ・4000万円超 税率45% 控除額4,796,000円 |
所得税・法人税 |
資本金1億円以下の中小企法人の場合
(平成30年4月1日以降開始事業年度) |
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制限なし | 交際費 | 制限がある | |
自由にできる | 業種の変更 | 定款により制限がある | |
不利 | 人材採用 | やや不利 | 個人事業主よりは有利 |