事業計画書を作成する目的は?

 ビジネスアイデアを見つけたら、かたちにしていき、最終的には「事業計画書」へ落とし込みます。それでは「事業計画」とはどんなものでしょうか?

 事業計画とはどのような事業を運営していくのか、その具体的な内容や行動の計画であり、それを示すための計画書が「事業計画書」です。起業しようとしている頭の中のイメージを、計画書にまとめ、実現できるか確認するものです。事業計画書は金融機関から融資を受ける場合は必ず必要となりますが、そうでない場合は事業計画書がなくても起業はできます。しかし、事業計画書を書かずに起業するということは、羅針盤を持たずに航海に出かけるようなものです。

■事業計画書を書く目的

・頭の中にある事業イメージをハッキリさせるため
・資金調達(融資、補助金等)のため
・家族や関係者・協力者への説明のため

 インターネットで「事業計画書 テンプレート」と検索するとさまざまなテンプレートがヒットしますので、まずは見てみてください。共通する項目としては以下のもがあります。

■事業計画書の作成項目(例)
・事業主のプロフィール(起業動機・経験等)
・事業の全体像(コンセプト・理念・未来像)
・自社の強み・弱みと外部環境
・商品・サービスの概要と価格
・対象顧客と市場規模
・競合他社と自社の「売り」
・販売計画
・仕入計画
・店舗設備計画
・人員計画
・広告宣伝
・起業前後のスケジュール
・資金計画・損益計画・資金繰り表

 起業を志した初期段階では、すべてを詳しく作成する必要はありませんが、融資や補助金の申請をする段階では、ほぼすべての項目が必要となります。それでは少し詳しく見ていきましょう。

■事業主のプロフィール

 個人事業で起業する場合、自分自身も重要な商品の一部ですので、プロフィールをまとめておきましょう。どんな履歴を持ち、どんな経験を積んだのか。自分のことだからよくわかっている、改めて自分を見直すのは面倒、と思われる方もいると思いますが、金融機関から資金調達する場合、事業の責任者がどのような経歴でどのような人脈を形成しているのかという点は、融資審査時における重要な判断材料となります。以下のポイントを参考に書き出してみましょう。

■事業主のプロフィールを書き出すポイント

・自分の履歴、職務経歴
・保有資格
・知識・スキル
・これから始めようと思っているビジネスに
有効な経験や能力
・提供しようとしている商品やサービスを
買ってくれそうな友人・知人・法人
・起業の動機

■事業の全体像(概略)

 自分の事業の「6W2H」を分解して、どのような目的で事業を始めるのか、誰に、何を、どのようにして販売して売上高・利益を上げるのかといったことを具体的にします。

Why?なぜ?事業をする目的や理由、理念
What?何を?商品・サービスの内容と特徴
Where?どこで?想定している市場
Whom?誰に?ターゲットとする顧客
How to?どのように?商品・サービスの提供方法。販売形態
When?いつ?どのタイミングで行うか
Who?誰が?どんな能力や経験を持った人間が行うのか
How much?いくらで?自己資金や売上高・利益目標

事業の方向性を言葉にしておく ~Mission・Vision・Value~

 事業の「MVV」という言葉があります。「MVV」はMission・Vision・Valueの頭文字で、企業や事業の存在意義や進む方向性を定めた指針のことです。

 Mission(ミッション)… 果たすべき使命、目的、存在意義
 Vision(ビジョン) …… 目指すべき姿、将来像、事業やサービスで成し遂げたいこと
 Value(バリュー) …… 行動基準 ミッションやビジョンを目指すための基本の行動となるもの

 MVVは事業の核ですので、極端に言えば、MVV以外はアウトソーシング(外注)できるのかもしれません。そのように考えると、MVVとして方向性を言語化しておくことで、社会情勢が変化したり、スタッフが増えたり、事業を見直しすることになったなどの変化があっても、脱線せず思いを共有しやすいことでしょう。また、作成するときは、覚えやすいように短くシンプルに誰でもわかる言葉でつくるようにするとよいでしょう。